渋谷区の社会保険労務士です。

高山英哲こんにちは、高山英哲です。

あなたと、今日学ぶことは「日立コンサルティング事件」の判例である。

私の事務所へも、顧問先から「降格させる場合の留意点」「裁量労働の運用」「解雇手続き」など様々な相談がある。

この3事案の運用は、決して容易ではない、だろう。

審判

一審(地方裁判所)

裁判所名

東京地方裁判所

事件番号

平成27年(ワ)1761号

裁判年月日

平成28年10月7日

裁判区分

判決

裁判文

日立コンサルティング事件,判決文(東京地方裁判所,平成28年10月7日)PDF(Adobe Acrobat)

参考条文

労働基準法第104条(監督機関に対する申告)PDF(Adobe Acrobat)

労働基準法第106条(法令等の周知義務)PDF(Adobe Acrobat)

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保盪等に関する法律第49条の3(厚生労働大臣に対する申告)PDF(Adobe Acrobat)


これを今、お読みのあなたは、降格、裁量労働制、解雇事案を運用しながらも「トラブルが発生したら、どうしょうか」と。

そんな思いを抱えているのでは、ないだろうか。

そこで、今回はあなたと「降格・裁量労働制・普通解雇の問題点」を摘出し、解決の出発点を考察する。

あなたと一緒に、ステップ・バイ・ステップで、勉強をしていく。

特に今まで「降格・裁量労働制・普通解雇」の問題点を、理解していない場合、必ず大きな知識を得るはずだ。

早速、すすめていくこととする。

 

ステップ1=「降格・裁量労働・普通解雇」の正体を、理解する

「降格・裁量労働・普通解雇」とは、何か?

聞いたことはあるだろうし、新聞、専門誌でも見かけたことは、あるはずだ。

人事総務担当業務が、浅い方のために、少し掘り下げて考えてみる。

 

1-1 そもそも、降格とは

「降格」とは、服務規律に違反した労働者の制裁とし資格等級等を引き下げることだ。降格は懲戒処分としてではなく、人事制度上の措置として行うことも可能である。

就業規則の懲戒条項に「降格」の類型を定義しておけば、人事制度として行ったにもかかわらず、懲戒処分を受けたと誤解されるおそれもある。ここは押さえてくこと。

例えば、出勤停止の懲戒処分で人事異動として部長職を解いた場合、二重処分となり、一事不再理に反するとの批判を受ける可能性がある。このような場合には、該当者に対して、制裁ではなく、あくまでも人事異動として部長職を解くべき合理的理由があることをきちんと説明できなくてはなら、ない。

なお「降格」に伴って賃金が変動する給与制度(例:資格給、役職手当が減額となる等)を採用している場合、当該の降給は、制裁としての「減給」ではない。

したがって、労働基準法第91条の適用は受けない。

1-2 裁量労働制の、正体

続いて「裁量労働制」の正体だ。

「裁量労働制」とは、法で定める業務について労使協定でみなし労働時間数を定めた場合、当該業務を遂行する労働者については実際の労働時間数にかかわりなく協定で定めた時間数労働したものとみなす制度である。

例えば、研究開発等の業務について労使協定で定める労働時間を1日10時問とすると、実際の実労働時問にかかわらず、10時間労働したものとみなされる。

具体的言うと、1日13時間労働しても10時間労働。1日7時間労働でも10時間労働ということになる。なお、この協定時間のうち、法定労働時間8時間を超えた2時間分については36協定の締結と割増賃金の支払いが義務付けられる。

 

1-3 普通解雇の姿とは、何か

 最後は、「普通解雇」を説明する。

「普通解雇」とは諸種の事由で労働契約を履行し得ない場合になされる、解雇である。

事由は、傷病による勤務不能、勤務成績の不良、協調性の欠如などがある。

参考として、普通解雇以外の解雇と比較してみるのが分かりやすいだろう。

 普通解雇例  懲戒解雇例
  能力が不足している         
  欠勤・遅刻が多い
  配置する仕事がない
  事業の縮小
  店舗の閉鎖など
  無断欠勤
  会社のお金を横領した
  会社の重大な秘密を腫らした
  業務命令に従わなかった
  学歴・職歴を偽ったなど

 

1-4 懲戒解雇と普通解雇

企業の就業規則で「普通解雇」と「懲戒解雇」を区別して規定している例が多い。

「普通解雇」を退職事由の一つ、「懲戒解雇」を懲戒処分の一つと位置付け、普通解雇は解雇予告ないし予告手当を支払う。一方、懲戒解雇の場合は解雇予告をせず即時解雇。また退職金の全部または一部を支給しないとする例が少なくない。

不利益性に加えて、懲戒解雇は「懲戒」の名が付されることで、再就職の大きな障害になる不利益性がある。この「不利益性」が普通解雇との違いだ。

 

ステップ2 会社と労働者が「降格」「裁量労働制」「普通解雇」で争った理由は?

あなたは、「降格」「裁量労働制」「普通解雇」の正体、姿は理解できただろう。

もちろん、ステップ2では、判例について、踏み込んでいく。

2-1 会社がとった「降格」は、有効なのか?

労働者に一連の不良な言動が、降格の理由だ。

その「降格」の理由は何か?

ズバリ!従業員の「自己中心的な態度」である。

確かに、会社のことを、考えずに、さらに協調性もなく仕事をする労働者はいる。

いわゆる「自己中」的な仕事。主体的に己のカラーを打ち出し、個性を生かした結果、いい仕事ができる場合もあるだろう。

しかしながら、会社の信用を損なう行為は、あってはならない。

例えば、ある夜、警察官が出動する騒ぎがあった。この原因は労働者にあった。会社および親会社の日立製作所が銀行に謝罪文も提出した。

この騒ぎで「会社の体面は著しく損なわれた」の事実である。ゆえに自己中心的な行動による企業秩序の混乱は軽視できない。処分内容はかなり重いといえる。

さらに会社の懲罰委員会では、夜の騒ぎにおける労働者の言動、上司に対する態度を批判し、アナリストへの降格・降給を相当と答申している。

裁判所は、社会通念上過酷に失するものと。。までは認められないが、本件降格を有効と判断した。

つまり「会社の体面は著しく損なわれた」ことを、裁判所は重要視したことになる。

また会社がに業務上の注意、叱責する等、従業員の心情にやや配慮が足りない面はあったとしながらも、違法なパワーハラスメントではないと示している。したがって、降格の相当性を揺るがすものではないとした。 

 

2-2 なぜ「裁量労働制」は、適用されないのか?

 ここでは、あなたと「裁量労働制」の適用の有無から考えみょう。

まず最初に考えることは「労働者の同意」用件である。

「はぁ~。。裁量労働制と同意って関係あるの?」

そんな声も、遠くから聞こてきるから、説明しょう。

労働者からの抑うつ状態の診断書の発行を受けた会社は、裁量労働除外通知書を発した。理由は「出勤状況等から業務を適切に遂行していないこと、診断書から業務負荷を軽減することが望ましい」と判断したからだ。

私は、会社がとった行動は、「正しい判断」だ、と思っていた。。

顧問先から相談を受けたら、同じことをしているだろう。

しかしながら、判決で、こう示している。

「裁量労働制の適用で労働者の利益や特別な賃金の優遇措置がある場合、この適用を恣意的に除外し、利益が奪われるべきではない」としている。

つまり「裁量労働制」の適用要件は、人事権規定とは別であり「裁量労働制の適用を除外することは、一方的にはできない」ということだ。

会社の裁量勤務制度規則では「裁量勤務制度が適用される者について対象者の意思を踏まえて会社が、裁量勤務制度の適用により従来以上に業務効率の向上が期待できる者と判断した場合合に認定するが、本制度の適用が適当でない場合は認定しない旨の規定がある。しかし、この定めは、採用当初から裁量勤務制度の対象とされている会社と労働者は該当しない、かつ、認定を事後的に撤回する権限まで付与するものではない」とされた。

ん~。。。なるほど。

裁量労働制の裁判事例は少ない。あなたは、ここは、押さえてく必要がある。

2-3 普通解雇の有効・無効 その理由を、みつける

最後は「解雇」の適否だ。

裁判所は「労働者が会社の命令に背いての時間外労働は解雇理由として考慮できない。

さらに質問票への回答を迫ったことは、東京労働局に対して労働者が情報提供したか調査する意図で行ったものであり、解雇の社会的相当性を疑わせ得る事情である」と判示した。

労働者は東京労働局へ「偽装請負」の申告をしていた。さらに労働基準監督署へは「労使協定の周知義務違反」の申告もしていたのだ。

しかしながら、労働者は降格以前より著しく不良な言動を繰り返している。

冷静さと協調性を欠いた独善的な性格に起因すると推認せざるを得ない。

会社側の落ち度を考慮しても節度に欠け過激である。

さらに労働者が偽装請負申告をしたことを把握してから本件解雇まで2ヵ月余が経過した。ゆえに偽装請負申告、本件周知違反申告などは解雇における決定的な動機ではない。

したがって、解雇は有効と判断された。

今回の判決、私は「イエス」、納得です。

 

ステップ3 見直すべきアクション「降格」「裁量労働制の除外」の実務とは

最後に、あなたの会社で、今から進むべき「降格」「裁量労働制の除外」の実務をご案内する。

次の順序ですすめていく必要がある。

3-1 「降格」根拠規定の確認

懲戒処分として実施する場合は、懲戒事由との整合性を確認

3-2 手続きの確認

①人事権行使としでの人事上の手続き
②懲戒処分の手続き
③本人との面談・本人から降格・降職事由となった出来事の報告書提出(弁明の機会)

3-3 効果(不利益内容等)の確認

3-4 法律上の禁止事項・不利益取り扱いへの該当性

①禁止事項に該当すると反論された場合の説明
②降職・降格による不利益の程度を考慮し「濫用」とならないかを検討

3-5 措置・処分の選択(濫用性・有効性の判断)

3-6 社内手続き(発令時期・公表)

発表時期や内容・方法は要検討すること

3-7 裁量労働制の適用除外の実務

いったん裁量労働制を適用した労働者を除外できるかに関して、具体的な社内規程等にも触れて詳細な判断を示された。

このことから、一般的な人事権規定とは別に、労使協定および就業規則で裁量労働制の適用から除外する要件・手続きを定
めて、使用者の除外権限を制度化べきだ。

したがって、裁量労働制およびその関連規程を検討・見直す必要がある。

ステップ4 労使協定届の作成・運用

最終ステップは、労使協定を見直しをする。

あなたは、すでに作成し届出をしているかもしれない。

見直しを含めて、考えてみてほしい。

4-1 専門業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号)

専門業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号)ワード(Microsoft Word )

専門業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号)PDF(Adobe Acrobat)

専門業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号)【記載例】PDF(Adobe Acrobat)

4-2 企画業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号の2)

企画業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号の2)ワード(Microsoft Word )

企画業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号の2)PDF(Adobe Acrobat)

企画業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号の2)【記載例】PDF(Adobe Acrobat)

4-3 企画業務型裁量労働制に関する報告(様式第13号の4)

企画業務型裁量労働制に関する報告(様式第13号の4)ワード(Microsoft Word )

企画業務型裁量労働制に関する報告(様式第13号の4)PDF(Adobe Acrobat)

企画業務型裁量労働制に関する報告(様式第13号の4)【記載例】PDF(Adobe Acrobat)

審判

一審(地方裁判所)

裁判所名

東京地方裁判所

事件番号

平成27年(ワ)1761号

裁判年月日

平成28年10月7日

裁判区分

判決

裁判文

日立コンサルティング事件,判決文(東京地方裁判所,平成28年10月7日)PDF(Adobe Acrobat)

参考条文

労働基準法第104条(監督機関に対する申告)PDF(Adobe Acrobat)

労働基準法第106条(法令等の周知義務)PDF(Adobe Acrobat)

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保盪等に関する法律第49条の3(厚生労働大臣に対する申告)PDF(Adobe Acrobat)

あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。

最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。

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