こんにちは。渋谷区の特定社会保険労務士の高山英哲です。
https://www.1roumshi.com/

建設業と社会保険加入について。様々なニュースが入ってきます。建設業ではたらく皆様にとっても大変気になっている事案だと思います。そこで、今後は新しいカテゴリーをつくり、定期的に発信をすることとしました。

題して「建設業の社会保険と人事労務」。建設業の社会保険加入と人事労務のニュースをタイムリーの皆様へお伝えしょうと思っています。今回は1回目です。

「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を建設業の社会保険加入の観点から、あなたと一緒に、みていきましょう。建設業の社会保険加入については、法律どおり、すぐに加入手続きをする会社と、しばらく待って加入する会社と2パターンあると思います。

すぐに加入手続きをする会社は、法律どおりに、年金事務所へ足を運び加入をしています。会社によっては、私たち社会保険労務士が作成、提出代行をする場合も決して少なくはないでしょう。

建設業では平成29年度を目処に、企業単位では許可業者の加入率100%、労働者単位では製造業相当の加入状況を目指して、社会保険の加入促進に取り組んでいます。

「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」では、遅くとも平成29年度以降においては、社会保険の適用除外でないにもかかわらず、社会保険末加入である建設企業は下請企業として選定しないとの取扱いとすべきであるとしています。

あなたの会社では、いかがですか?

適切な保険に加入していることを確認できない作業員については、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いとすべきであるとしています。かなり厳しい内容です。しばらく待って加入する会社の皆様にとっては、かなり厳しい内容です。今すぐ、対応をする必要がありますね。

 

そこで社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを少し見ていきましょう。
以下は要約です。

【参照】
社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン

社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂等について

「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」の改訂等について(概要)

(参考)社会保険の適用関係について

第1 趣旨

建設産業においては、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険(以下「社会保険」という。)について、法定福利費を適正に負担しない企業(すなわち保険未加入企業)が存在し、技能労働者の医療、年金など、いざというときの公的保障が確保されず、若年入職者減少の一因となっているほか、関係法令を遵守して適正に法定福利費を負担する事業者ほど競争上不利になるという矛盾した状況が生じている。

この対策に際しては、「建設産業の再生と発展のための方策2 0 11」及び中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会中間とりまとめにおいて示されているとおり、建設産業全体としての枠組みを整備し、行政、元請企業及び下請企業が一体となって取り組んでいくことが必要である。

このため、建設産業行政としては、建設業許可部局において、社会保険担当部局との連携を図りつつ、建設業許可・更新時々立入検査等における確認・指導、経営事項審査の厳格化、社会保険担当部局への通報等を行うこととしたところである。また、平成26年9月30日に改正された公共工事の入札及び契約の適正化を図るため措置に関する指針においては、「公平で健全な競争環境状況を目指すべきである」とされており、本ガイドラインは、この目標を達成するため、建設業における社会保険の加入について、元請企業及び下請企業がそれぞれ負うべき役割と責任を明確にしたものであり、建設企業の取組の指針となるべきものである。

 

公的保障が確保されないことが、若年入職者減少の一因と言い切っています。

加えて、「公平で健全な競争環境状況を目指すべきである」と目標を達成するため、建設業における社会保険の加入について、元請企業及び下請企業がそれぞれ負うべき役割と責任を明確にしたものであり、建設企業の取組の指針となるべきものであるといっています。かなり本気ですね。

 

第2 元請企業の役割と責任

(1)総論

元請企業は、請け負った工事の全般について、下請企業よりも広い責任や権限を持っている。この責任・権限に基づき元請企業が発注者との間で行う請負価格、工期の決定などは、下請企業の経営の健全化にも大きな影響をもたらすものであることから、下請企業の企業体質の改善について、元請企業も相応の役割を分担することが求められる。

このような観点から、元請企業はその請け負った建設工事におけるすべての下請企業に対して、適正な契約の締結、適正な施工体制の確立、雇用・労働条件の改善、福祉の充実等について指導・助言その他の援助を行うことが期待される。とりわけ社会保険については、関係者を挙げて未加入問題への対策を進め、社会保険加入を徹底することにより、技能労働者の雇用環境の改善や不良不適格業者の排除に取り組むことが求められており、元請企業においても下請企業に対する指導等の取組を講じろ必要がある。

建設労働者の雇用の改善等に関する法律においても、元方事業主は関係請負人に対して雇用保険その他建設労働者の福利厚生に関する事項等の適正な管理に関して助言、指導その他の援助を行うように努めることとされている本ガイドラインによる下請指導の対象となる下請企業は、元請企業と直接の契約関係にある者に限られず、元請企業が請け負った建設工事に従事するすべての下請企業であるが、元請企業がそのすべてに対して自ら直接指導を行うことが求められるものではなく、直接の契約関係にある下請企業に指示し、又は協力させ、元請企業はこれを統括するという方法も可能である。

もっとも、直接の契約関係にある下請企業に実施させたところ指導をかった場合や、直接の契約関係にある下請企業がその規模等にかんがみて明らかに実施困難であると認められる場合には、元請企業が直接指導を行うことが必要である。元請企業においては、支店や営業所を含めて、その役職員に対する本ガイドラインの周知徹底に努めるものとする。

 

元請企業の役割と責任が明示されています。
元受企業は、下請企業の体質改善について相応の役割があります。

 

(2)協力会社組織を通じた指導等

元請企業による下請指導は、特定の建設工事の期間中、すなわち、元請・下請関係が継続している間実施する必要があるが、元請企業の協力会や災害防止協会等の協力会社組織に所属する建設企業(以下「協力会社」という。)に対しては、長期的な観点から指導を行うことが望まれる。

また、保険未加入対策を効果的なものとするためには、元請企業において保険末加入の協力会社とは契約しないことや、保険未加入の建設労働者の現場入場を認めないことを具体的に予定しつつ、協力会社の指導に取り組んでいくことが求められる。

このため、元請企業としては、様々な機会をとらえて協力会社の社会保険に対する意識を高めることが重要であり、具体的には次の取組を行うべきである。

ア 協力会社の社会保険加入状況について定期に把握を行うこと。

イ 協力会社組織を通じた社会保険の周知啓発や加入勧奨を行うこと。

ウ 適正に加入していない協力会社が判明した場合には、早期に加入手続を進めるよう指導すること。労働者であるにもかかわらず社会保険の適用除外者である個人事業主として作業員名簿に記載するケースや、個々の工事で4人以下の適用除外者を記載した作業員名簿を提出する個人事業主が実際には5人以上の常用労働者を雇用すると判明するケースなど、不自然な取扱いが見られる協力会社についても、事実確認をした上で適正に加入していないと判明した場合には、同様に指導を行うこと。

エ 社会保険の未加入企業が二次や三次等の下請企業に多くみられる現状にかんがみ、協力会社から再下請企業に対してもこれらの取組を行うよう指導すること。加えて、平成29年度以降を見据え、すべての下請企業を適切な保険に加入しかものに限定した工事を試行的に実施し、その取組を拡大することが望ましい。作業員についても、工事の規模等に鑑みて可能である場合には、すべての作業員を適切な保険に加入しかものに限定した工事を試行的に実施することが望ましい。

 

(3)下請企業選定時の確認・指導等

元請企業は、下請企業の選定に当たっては、法令上の義務があるにもかかわらず適切に社会保険に加入しない建設企業は社会保険に関する法令を遵守しない不良不適格業者であるということ踏まえる必要がある。

このため、下請契約に先立って、選定の候補となる建設企業について社会保険の加入状況を確認し、適用除外でないにもかかわらず未加入である場合には、早期に加入手続を進めるよう指導を行うこと。この確認に当たっては、必要に応じ、選定の候補となる建設企業に保険料の領収済通知書等関係資料のコピーを提示させるなど、真正性の確保に向けた措置を講ずるよう努めること。なお、雇用保険については、厚生労働省の労働保険適用事業場検索サイトにおいて適用状況を確認することができる。

ついては、下請企業には、適切な保険に加入している建設企業を選定すべきであり、遅くとも平成29年度以降においては、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の全部又は一部について、適用除外でないにもかかわらず未加入である建設企業は、下請企業として選定しないとの取り扱いとすべきである。

 

本気です!「遅くとも平成29年度以降、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の全部又は一部について、適用除外でないのに、未加入の建設企業は、下請企業として選定しないとの取り扱いをすべき。。と。

 

(4)再下請負通知書を活用した確認・指導等

施工体制台帳の作成及び備付け又は写しの提出が義務付けられる建設工事において、再下請負がなされる場合には、発注者から直接建設工事を請け負った元請負人に対して下請負人から再下請負通知書が提出される。

再下請負通知書の記載事項に健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の加入状況に関する事項が追加されたことから、発注者から直接建設工事を請け負った元請負人においては、再下請負通知書を活用して下請負人の社会保険の加入状況を確認することが可能である。

このため、建設業者たる元請企業は、再下請負通知書の「健康保険等の加入状況」欄により下請企業が社会保険に加入していることを確認すること。

この確認の結果、適用除外でないにもかかわらず未加入である下請企業があり、(3)の指導が行われていない場合には、(3)と同様の指導を行うこと。施工体制台帳については、適正な施工体制を確保すること。

 

これは、実務的な内容まで詳しく記載されています。

 

(5)作業員名簿を活用した確認・指導

施工体制台帳及び再下請負通知書に関する規則の規定の改正に合わせて、各団体等が作成している作業員名簿の様式においても、各作業員の加入している健康保険、年金保険及び雇用保険の名称及び被保険者番号等の記載欄が追加されている。

この作業員名簿を活用することで、建設工事の施工現場で就労する建設労働者について、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の加入状況を把握することが可能である。これを受け、元請企業は、新規入場者の受け入れに際して、各作業員について作業員名簿の社会保険欄を確認すること。

確認の結果、●全部又は一部の保険について空欄となっている作業員●法人に所属する作業員で、健康保険欄に「国民健康保険」と記載され、又は(及び)年金保険欄に「国民年金」と記載されている者●個人事業所で5人以上の作業員が記載された作業員名簿において、健康保険欄に「国民健康保険」と記載され、又は(及び)年金保険欄に「国民年金」と記載されている作業員がある場合には、作業員名簿を作成した下請企業に対し、作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること。

なお、法人や5人以上の常用労働者を雇用する個人事業所に所属する作業員であっても、臨時に使用され1か月以内で日々雇用される者等は、健康保険や厚生年金保険の適用除外となる。元請企業が、各作業員の保険加入状況が記録された情報システムを利用するなど、作業員名簿の確認以外の方法により各作業員の保険加入状況を把握できる場合には、当該法による確認も可能である。

各作業員の保険加入状況の確認を行う際には、必要に応じ、下請企業に社会保険の標準報酬決定通知書等関係資料のコピーを提示させるなど、記載事項の真正性の確保に向けた措置を講ずるよう努めること。

情報システムを利用して各作業員の保険加入状況を確認する場合にあっては、必要な資料を電子データで添付する方法により提示させることも可能である。なお、作業員名簿に記載する被保険者番号等は個人隋報の保護に関する法律に規定する個人隋報に該当することから、同法及び「国土交通省所管分野における個人隋報保護に関するガイドライン」に留意し、適切に取り扱うことが必要である。

遅くとも平成29年度以降においては、適切な保険に加入していることを確認できない作業員については、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いとすべきである。

具体的に期限を明示しています。平成29年度以降においては、適切な保険に加入していることを確認できない作業員については。。。遵守する必要がありますね。

 

(6)施工体制台帳の作成を要しない工事における取扱い

下請契約の総額が建設業法施行令で定める金額を下回ることにより施工体制台帳の作成等が義務付けられていない民間工事の場合であっても、建設工事の適正な施工を確保する観点から、元請企業は規則第14条の2から第14条の7までの規定に準拠した施工体制台帳の作成等が勧奨されているところである

建設工事の施工に係る下請企業の社会保険の加入状況及び各作業員の保険加入状況についても、元請企業は適宜の方法によって把握し、未加入である場合には指導を行うべきである。

 

(7)建設工事の施工現場等における周知啓発

下請企業や建設労働者に対し、社会保険の加入に関する周知啓発を図るため、次の取組を継続して行うべきである。

ア 建設工事の施工現場において社会保険の加入に関するポスターの掲示、パンフレット等の資料及び情報の提供、講習会の開催等の周知啓発を行うこと。
イ (2)に記載したとおり、協力会社組織を通じた社会保険の周知啓発や加入勧奨を行うこと。

 

(8)法定福利費の適正な確保

社会保険の保険料は、建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費であり、建設業法「通常必要と認められる原価」に含まれるものである。このため、元請負人及び下請負人は見積時から法定福利費を必要経費として適正に確保する必要がある。

加えて、建設業法第20条第1項において、建設業者は建設工事の請負契約を締結するに際し、経費の内訳を明らかにして建設工事の見積りを行うよう努めなければならないこととされている。

このため、元請負人は、専門工事業団体等が作成した標準見積書の活用等による法定福利費相当額を内訳明示した見積書を提出するよう下請負人に働きかけるとともに、提出された見積書を尊重して下請負契約を締結しなければならない。

具体的には、元請負人は、社会保険の保険料が建設業者が義務的に負担しなければならない経費であり、上記「通常必要と認められる原価」に含まれるものであることを踏まえ、下請負人が自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積り、元請負人に提示できるよう、見積条件の提示の際、適正な法定福利費を内訳明示した見積書を提出するよう明示しなければならない。

加えて、社会保険の加入に必要な法定福利費については、提出された見積書を尊重し、各々の対等な立場における合意に基づいて請負金額に適切に反映することも必要である。

下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示され又は含まれているにもかかわらず、元請負人がこれを尊重せず、法定福利費相当額を一方的に削減したり、労務費そのものや請負金額を構成する他の費用(材料費、労務費、その他経費など)で減額調整を行うなど、実質的に法定福利費相当額を賄うことができない金額で建設工事の請負契約を締結し、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがあるので、これを厳に慎むこと。

 


第3 下請企業の役割と責任

(1)総論

社会保険に関する法令に基づいて従業員の社会保険への加入義務を負っているのは雇用主である。そのため、社会保険加入を徹底するためには、建設労働者を雇用する者、特に下請企業自らがその責任を果たすことが必要不可欠である。

(2)雇用する労働者の適切な社会保険への加入

下請企業はその雇用する労働者の社会保険加入手続を適切に行うこと。建設労働者について、労働者である社員と請負関係にある者の二者を明確に区別した上で、労働者である社員についての保険加入手続を適切に行うことが必要である。

また、施工体制台帳、再下請負通知書及び作業員名簿については、下請負人と建設労働者との関係を正しく認識した上で記載すること。事業主が労務関係諸経費の削減を意図して、これまで雇用関係にあった労働者を対象に個人事業主として請負契約を結寒ことは、たとえ請負契約の形式であっても実態が雇用労働者であれば、偽装請負として職業安定法等の労働関係法令に抵触するおそれがある。

労働者であるかどうかは、・仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無・業務遂行上の指揮監督の有無・勤務時間の拘束性の有無・本人の代替性の有無・報酬の労務対償性をけじめ関連する諸要素を勘案して総合的に判断されるべきものであるが、保険未加入対策の推進を契機に、従来の慣行が適正なものかどうか見直しを行うこと。

その際には、期間の定めのない労働契約による正社員、工期に合わせた期間の定めのある労働契約による契約社員とすることもあり得るものであり、その実情に応じて建設労働者の処遇が適切に図られるようにすること。

 

(3)元請企業が行う指導等への協力

元請企業が行う指導に協力すること。この協力は、元請企業が行う指導の相手方として指導に沿った対応をとるごとにとどまらず、元請企業の指導が建設工事の施工に携わるすべての下請企業に行き渡るよう、元請企業による指導の足りないところを指摘、補完し、もしくはこれを分担することや、再下請企業が雇用する各作業員の保険加入状況を確認し、自社の雇用者も含めてその真正性の確保に向けた措置を講ずるよう努めること、それらの状況について元請企業に情報提供することなども含まれる。

また、元請企業が、適切な保険に加入していることを確認できない作業員について現場入場を認めない取扱いをする場合には、下請企業においてもこの措置に協力し、適切な保険に加入していることを確認できない作業員を現場に入場させないようにすること。規則第14条の4の規定の改正を受けた再下請通知書については、適正な施工体制を確保すること。

なお、作業員名簿に記載する被保険者番号等は個人隋報の保護に関する法律第2条第1項に規定する個人隋報に該当することから、同法及び「国土交通省所管分野における個人情報保護に関するガイドライン」に留意し、適切に取り扱うことが必要である。特に、作業員名簿の元請企業への提出に当たっては、利用目的を示した上で、あらかじめ作業員の同意を得ることが必要となることに留意すること。

 

(4)雇用する労働者に係る法定福利費の適正な確保

建設労働者の社会保険への加入促進を図るためには、建設労働者を直接雇用する下請企業が法定福利費を適切に確保する必要がある。また、建設業者は、建設業法第20条第1項において、建設工事の経費の内訳を明らかにして見積りを行うよう努めなければならないこととされている。

このため、下請企業は自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積り、標準見積書の活用等により法定福利費相当額を内訳明示した見積書を注文者に提出し、雇用する建設労働者が社会保険に加入するために必要な法定福利費を確保すること。

 

(5)再下請負に係る適正な法定福利費の確保

下請企業が請け負った建設工事を他の建設業を営むものに再下請負させた場合には、当該下請企業は、再下請負人の法定福利費を適正に確保する必要があり、標準見積書の活用等による法定福利費相当額を内訳明示した見積書を提出するよう再下請負人に働きかけるとともに、提出された見積書を尊重して再下請負契約を締結しなければならない。

具体的には、元請負人は、社会保険の保険料は建設業者が義務的に負担しなければならない経費であり「通常必要と認められる原価」に含まれるものであることを踏まえ、再下請負人が自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積るとともに提出する見積書に明示できるよう、見積条件の提示の際、適正な法定福利費を内訳明示した見積書を提出するよう明示しなければならない。その際、社会保険の加入に必要な法定福利費については、提出された見積書を尊重し、各々の対等な立場における合意に基づいて請負金額に適切に反映することも必要である。

再下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示され又は含まれているにもかかわらず、元請負人がこれを尊重せず、法定福利費相当額を一方的に削減したり、労務費そのものや請負金額を構成する他の費用(材料費、労務費、その他経費など)で減額調整を行うなど、実質的に法定福利費相当額を賄うことができない金額で建設工事の請負契約を締結し、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等によっては、不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがあるので、これを厳に慎むこと。

 

社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインは、けっこうなボリュームですね。

建設産業全体としての枠組みを整備し、行政、元請企業及び下請企業が一体となって取り組んでいくことが、社会保険の適正な運用につながることが理解できると思います

 

【参照】

社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン

社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂等について

「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」の改訂等について(概要)

(参考)社会保険の適用関係について

渋谷区の特定社会保険労務士の高山英哲でした。
https://www.1roumshi.com/