ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件は料理人(パティシエ)である労働者に対する賃金減額の合意と95時間分の時間外割増賃金としての職務手当受給の合意の有効性が争われたものです。

まず賃金減額合意について。

賃金減額合意は平成19年4月に賃金年額を624万円から500万円に下げたい旨の話をしたとき労働者の「わかりました」との応答 は「会社からの説明に対してわかった」という趣旨だけにとどまり平成20年4月の労働条件確認書に署名押印をもってはじめて自由な意思での同意をしたものとしました。

期間をあけず、その場での同意書への署名押印は不可欠ですね。

続いて職務手当受給の合意の有効性についてです。
はたして「定額残業代は何時間まで設定できるのか?」

札幌高裁では、95時間の定額残業代を無効として
45時間の限度で有効としました。

理由は次の2点です。

ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナルは差額精算を全く行っていない
そのため定額残業手当である職務手当を超えて支払う意思のない定額残業代制度を無効

②旧労働省平成4年告示第72号に定める36協定の上限時間である45時間を超えて
定額残業代制度を設定することは長時間労働を義務付けるもので無効である。
しかし、全てを無効にする必要はなく残業時間45時間までの合意は有効であったと判断しました。

95時間分の定額残業代手当について労働契約書で合意をしていますが、45時間分しか認められませんでした。

100時間を越える定額残業代手当について合意をした労働契約書を拝見することがあります。

この判例のように契約無効とされる可能性がありますので注意をする必要があります

●判決年月日・・・平成24年10月19日
●裁判所名・・・・札幌高裁
●裁判区分・・・・判決

●事件番号・・・・ 平23(ネ)330号・平23(ネ)527号
●事件名・・・・・ 賃金等請求控訴、同附帯控訴事件〔ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件〕
●裁判結果・・・・ 控訴棄却、附帯控訴棄却
●上訴等・・・・・ 上告

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