時間外労働割増賃金(残業代)等の計算方法は、おさえておきましょう!

よくわかるM&Aの労務DD:義務的調査項目 未払い賃金:時間外労働割増賃金(残業代)等の計算方法の誤り、今回は皆様と一緒に考えていきます。

あなたの会社は、時間外労働割増賃金(残業代)等を支払っています?時間単価の算出方法、除外賃金の内容確認、法定割増率、月給を時給換算した場合に最低賃金との比較、端数処理等は、あらかじめ確認をする必要があります。M&Aを検討する場合、必ずおさておいてくださいね。

 

時間外労働割増賃金(残業代)等の計算方法の誤り 7つのポイントとは?

よくわかるM&Aの労務DD:義務的調査項目 未払い賃金:時間外労働割増賃金(残業代)等の計算方法の誤り、今回は皆様と一緒に考えていきます。

M&Aの労務DD:義務的調査項目で時間外労働割増賃金(残業代)等の計算方法で、指摘するポイントは、次の7点です。※1

①時間単価の算出方法
②除外賃金の内容確認
③法定割増率の確認
④月給を時給換算した場合に最低賃金との比較
⑤端数処理
⑥管理監督者,みなし労働対象者等の深夜労働
⑦年俸社員の時間外賃金の取決め
⑧中途入退社した者の変形労働時間の清算

※1 2016年 SR 第41号 野中健次『中小企業の事業承継問題の”処方箋” M&Aにおける社労士の役割』126頁

 

あるある!賃金単価、割増賃金単価の計算の誤解

よく考えると「あるある」と、思うでしょ。本日は、①1時間あたりの賃金単価、時間外・休日・深夜労働の割増賃金単価の計算誤りを、あなと一緒に考えていきましょう。それでは、具体的、事例をあげてみますね!

Y社:(印刷業:従業員数50名)

40年前に設立。後継者がいないことが、社長の悩みである。
完全週休2日制、1日の所定労働時間8時間、1週間の所定労働時40間時間。

残業代については払ってはいるが、勤続年数で時間外労働割増賃金の単価を1,000円~2,000円で支払っている。

時間外労働割増賃金=1,000円~2,000円×時間外労働時間数。M&Aの検討をはじめ、この機会に是正をしたいと考えている。

山田太郎さん(勤続年数7年)の給与:基本給250,000円、家族手当30,000円、通勤手当12,800円。

10月の時間外労働時間数は40時間。1,200円×40時間=48,000円
時間外労働割増賃金として48,000円を支払っていた。

最初に気づくのは、勤続年数で時間外労働割増賃金の単価を決定していることです。あなたも、チョット変だなぁーと感じるでしょう。

 

就業規則の休日、所定労働時間、休憩時間を確認します。

続いて、月給者の時間外労働割増賃金の計算をします。計算方法に注目してください。まず、1ヶ月の平均所定労働時間数をおさえておきましょう。会社の就業規則の休日、所定労働時間、休憩時間をみておきましょう。一般的規程例です。

(休 日)
第○○条 会社の休日は次のとおりとする。
①日曜日(法定休日)
➁土曜日
③夏期休日(8月○日~8月○日)

④年末年始(12月○日~1月○日)
(所定労働時間・休憩時間)
第○○条 労働時間は、1日8時間、1週間40時間の勤務とする。始業・終業の時刻および休憩時間は次のとおりとする。
始業時刻: 9時00分
終業時刻:18時00分
休憩時間:12時00分~13時00分の1時間

就業規則で休日、所定労働時間、休憩時間を確認できました。たまに、就業規則と実態の休日、所定労働時間、休憩時間が実態とかけ離れている場合があります。この点は必ずおさえておきましょう。

 

ここは、必ずおさえて!1ケ月の平均所定労働時間数を算出方法

それでは、1ケ月の平均所定労働時間数を算出いたします。算方法は次の順番でみていきます。

①年間所定休日土曜日+日曜日+夏期休暇+年末年始=118日
➁年間所定労働日数365-118日=247日
③1年間の所定労働時間数247日×8時間(1日の所定労働時間数)=1,976時間
④1ケ月の平均所定労働時間数1,976÷12ヶ月=164.67時間

1ヶ月の平均所定労働時間数は、164.67時間ですねここまでは、よろしいですか?この端数については、賃金の端数とは異なります。切り捨てても、少数第2位までなどとしてもいいです。

 

さて、簿外債務は?

月給者の1時間あたりの割増賃金単価を算出する場合、①➁③④は全て、おさえておきたい項目です。難しくないでしょう。①~④の順番のそって算出すれば容易だと思います。

割増賃金単価計算250,000円(基本給)÷164.67時間(1ヶ月の平均所定労働時間)×1.25=1,898円
(1,897.7:50銭未満切捨て、50銭以上1円に切上げ)
残業手当の計算1,898円(1時間あたりの時間外労働割増賃金単価)×40時間=75,920円
残業手当は75,920円となります。すでに支払われた48,000円との差額を計算します。
差額計算75,920円ー48,000円=27,920円
簿外債務27,920円
27,920円が山田さんの未払い賃金となり、簿外債務となります。

いかがですか?今回は、義務的調査項目 未払い賃金:時間外労働割増賃金(残業代)等の計算方法の誤り:時間単価の算出を取り上げました!次回は、除外賃金の内容確認を、あなたと一緒にみていきましょう!

渋谷区の特定社会保険労務士の高山英哲でしたhttps://www.1roumshi.com


高山社会保険労務士事務所
電話 03-5784-0120
住所 東京都渋谷区神南1-5-4 ロイヤルパレス原宿5階