渋谷区の社会保険労務士です。

高山英哲こんにちは、高山英哲です。

最近「未払い賃金等の時効期間の変更」が世間を騒がしています。
この話題!避けてはとおれません。

☑ 賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=503103

本日は「消滅時効の期間の統一化」や「短期消滅時効の廃止」が
盛り込まれた改正民法(債権関係)が昨年の平成29年5月26日に成立し
29年6月26日に交付されました。

これを受け厚生労働省も動き出します。

平成29年末に「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」が設置され
協議がスタートしています。

この検討会では、労基法で特例が定められている賃金請求権等の消滅時効期間の
在り方を検討するものです。

とくに「未払い賃金等の消滅時効期間を現行の2年から5年に変更する
かどうか」
が最大の論点となっています!

政府の魂がこもった、もぎたての情報です。

早速、検討会の内容を、チェックしていきましょう。

賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会の内容 趣旨・目的(要約)

一般債権の消滅時効については、民法(明治29年法律第89号)において、
10年間の消滅時効期間及び使用人の給料に係る債権等の短期消滅時効期間が
定められている。

この規定については、今般、民法の一部を改正する法律で、
消滅時効の期間の統一化や短期消滅時効の廃止等が行われた。

現行の労働基準法(昭和22年法律第49号)においては、労働者の保護と
取引の安全の観点から、この民法に定められている消滅時効の特則として
賃金等請求権の消滅時効期間の特例が定められてる。

したがって今般の民法改正を踏まえてその在り方を検討する必要がある。

民法改の協議事項

○ 賃金等請求権に関する消滅時効について

○ 賃金について

○ 年次有給休暇について

○ 賃金台帳等の保存について

○ 付加金についてなど
 

賃金等請求権に関する消滅時効について

労働基準法第115条の対象となる請求権

<賃金等請求権>

【金品の返還(23条)】
退職労働者等の権利者の請求があった日から7日以内に、使用者は賃金その他の金品を返還しなければならないことを規定。

【賃金の支払(24条)】
賃金は通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならないことを規定。

【非常時払(25条)】
労働者に、出産、疾病、災害等の不時の出費を必要とする事情が生じた場合、労働者が使用者に既往の労働に対する賃金の繰上払を請求しうることを規定。

【休業手当(26条)】
使用者の責に帰すべき事由によって労働者が就業できなかった場合には、その休業期間中、使用者は労働者に対し、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならないことを規定。

【出来高払制の保障給(27条)】
出来高払制その他の請負制で使用される労働者の賃金については、労働者が就業した以上は、たとえその出来高が少ない場合でも、労働した時間に応じて使用者が一定額の保障を行わなければならないことを規定。

【時間外・休日労働に対する割増賃金(37条1項)】
労働時間を超える時間の労働、休日における労働または深夜の労働に対して、使用者が割増賃金を支払わなければならないことを規定。

【有給休暇期間中の賃金(39条7項)】
有給休暇日の賃金については、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又は健康保険法による標準報酬日額に相当する金額のうち、就業規則その他これに準ずるもの又は労使協定で選択したものを支払わなければならないことを規定。

【未成年者の賃金請求権(59条)】
親権者又は後見人による代理受領を禁止するため、未成年労働者に賃金の独立請求権を付与する規定。

<災害補償請求権>

【療養補償(75条)】
労働者が業務上負傷したり疾病にかかったりした場合の使用者の療養に関する補償責任について規定。使用者は、療養そのものを行うか、又は療養に要する費用を労働者に支払うかのいずれかを行わなければならないことを規定。

【休業補償(76条)】
業務上負傷し、または疾病にかかったため、労働基準法第75条の規定により療養補償を受けている労働者が、その間労働することができず、賃金を受けることができない場合に、使用者はその補償として、療養中平均賃金の6割に相当する金額を支給しなければならないことを規定。

【障害補償(77条)】
業務上の負傷または疾病の結果が身体障害として残った場合に、その障害を14等級に区分し、使用者はその等級に応じて一時金を障害補償として支給しなければならないことを規定。

【遺族補償(79条)】
労働者が業務上死亡した場合に、その遺族を保護するために、使用者が平均賃金の1000日分の遺族補償を行わなければならないことを規定。

【葬祭料(80条)】
労働者が業務上死亡した場合に、使用者は、葬祭を行う者に対して、平均賃金の60日分の葬祭料を支払わなければならないことを規定。

【打切補償(81条)】
労働基準法第75条の規定により療養補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過した場合に、使用者が平均賃金の1200日分の打切補償を行うことによって、その後における労働基準法の規定による補償を行わなくてもよいことを規定。

【分割補償(82条)】
一時金支給を原則とする障害補償及び遺族補償を行うに当たって、その支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を得た場合には、6年に分割して毎年補償することができることを規定。

【帰郷旅費(15条3項、64条)】
使用者が契約締結のときに提示した労働条件と実際の労働条件が相違するために労働者が即時契約を解除する場合や満18歳未満の者が解雇された場合、契約解除・解雇の日から14日以内に帰郷する場合においては使用者は必要な旅費を負担しなければならないことを規定。

【解雇予告手当請求権(20条1項)】
使用者が、労働者を解雇する場合には、30日前に解雇の予告を行わなければならず、30日前に解雇予告をしない使用者は、予告に代えて30日分以上の平均賃金を支払わなければならないことを規定。

【退職時の証明(22条)】
労働者から請求があった場合は、使用者は退職時の証明書を交付しなければならないことを規定。

【金品の返還(23条)】
退職労働者等の権利者の請求があった日から7日以内に、使用者は賃金その他の金品を返還しなければならないことを規定。

【年次有給休暇(39条)】
使用者は、労働者が1年間(初年度は6か月)継続勤務し、1年間(初年度は6か月)の出勤成績が8割以上である場合、法定休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与えなければならないことを規定。

<退職金請求権>

【賃金の支払(24条)】
賃金は通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならないことを規定。


その他、賃金請求権等の消滅時効期間については「消滅時効の起算点」「年次有給休暇請求権の
消滅時効期間(繰越期間)」「その他の関連規定(書類の保存期間や付加金等)」も
重要な論点となっています。

使用者側弁護士等でつくる団体である経営法曹会議が、
この変更に反対の意見を表明しました(労働弁護団は賛成の意見を表明)。

☑ 意見書
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000193252.pdf

本当に変更できるのかなぁーと思う箇所も少なくありません。
現状では、課題はテンコ盛り。

今後も動向は、チェックをしていきます。

☑ 賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=50310

 

 

最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。

あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。

渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。お客様皆様の声
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