渋谷区の社会保険労務士です。

高山英哲こんにちは、高山英哲です。久しぶりの投稿です。

2026年は2月最初の投稿です。今月もワクワクします。。

「働き方改革」の推進もあり、副業を考える人が増えています。

しかし、多くの人が「会社のルールで禁止されているから…」と一歩を踏-出せずにいるのではないでしょうか。

一方で、昨今では「闇バイト」といった深刻な問題もニュースを賑わせており、企業側が従業員の副業に神経質になるのも無理はありません。

この記事では、法律の専門家の見地から、会社の副業ルールに関する意外な、しかし非常に重要な「真実」を解説します。

従業員として自分の権利を正しく理解し、また企業がどこまで正当な境界線を引けるのかを知るためのガイドです。

 


ステップ1:原則、副業は自由!会社が「全面禁止」するのは難しい

まず知っておくべき最も基本的な原則は、「従業員は、勤務時間外の時間をどのように使うか、原則として自由である」ということです。

労働契約とは、あくまで「会社の定めた労働時間内に、労働力を提供する」という契約です。

そのため、それ以外のプライベートな時間を会社が包括的に束縛することはできません。

過去の裁判例(小川建設事件など)でも、特段の事情なく副業を全面的に禁止する会社の規定は、合理性を欠くものとして無効と判断されています。

副業に関するあらゆる議論は、この「自由が原則」という地点からスタートします。

 

ステップ2:ただし、会社が「待った」をかけられる4つのケース

副業は原則自由ですが、もちろん例外はあります。会社は「いかなる副業も無制限に認めなければならない」というわけではありません。

厚生労働省が公表している「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、企業が従業員の副業を制限できる例外的なケースとして、以下の4つを挙げています。

• ① 労務提供上の支障がある場合 副業による疲労で本業に遅刻したり、集中力を欠いたりするケースが典型です。深夜や早朝の緊急呼び出しがある副業で睡眠が妨げられ、日中の業務に影響が出る場合などもこれに該当します。

• ② 業務上の秘密が漏洩する場合 副業を通じて、自社の機密情報や顧客リスト、独自のノウハウが外部に漏れてしまうリスクがあるケースです。

• ③ 競業により自社の利益が害される場合 単に同業他社で働くというだけでなく、自社の顧客を奪ったり、ビジネス機会を横取りしたりするなど、副業が直接的に自社の利益を損なう可能性があるケースを指します。

• ④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合 反社会的な活動への関与はもちろん、会社のブランドイメージによっては、特定の夜の仕事や、物議を醸すような活動への参加が、会社の社会的評価を傷つけると判断される可能性があるケースです。

会社が副業に許可制を設ける場合でも、その判断基準は基本的にこの4つのいずれかに該当するかどうかで、慎重に判断されるべきものとされています。

 

ステップ3:ルール違反だけではクビにならない?懲戒処分の重いハードル

「会社のルールに違反して副業をしたら、懲戒処分(クビなど)になるのでは?」と心配する方も多いでしょう。

しかし、これも意外な事実ですが、「就業規則の副業禁止規定に違反した」という事実だけでは、有効な懲戒処分は下せません。

懲戒処分が法的に有効と認められるためには、「客観的に合理的な理由」と「社会的な相当性」の両方が必要です。

つまり、裁判所などでは、単なるルール違反という形式的な事実だけでなく、その副業が会社に「実質的な損害を与えたか」が厳しく見られます。

具体的には、裁判所が判断する「客観的に合理的な理由」とは、その副業が第2章で解説した4つのケースのいずれかに該当し、会社に実質的な不利益をもたらしたという事実を指します。

裁判実務においても、就業規則上の副業規制が形式的に適用されることはなく、労務提供上の支障や企業秩序への影響の抑止といった趣旨を勘案して、これらの観点で格別の支障がないものについては、そもそも副業規制の対象には該当しないものとする限定的な解釈が行われることが大勢を占めています。

ステップ4:「若手だけ審査」はNG?闇バイト対策でも不合理な理由

最近、10代・20代の若者が「闇バイト」に関与する事件が増えていることから、「30歳未満の若手社員に限り、副業の審査を厳しくしたい」と考える企業があるかもしれません。

もちろん、従業員が犯罪に加担することを防ぎたいという会社の動機は、レピュテーションリスク(企業の評判低下リスク)の観点からも合理的です。

しかし結論から言うと、年齢で区切って若手社員だけを対象にルールを厳格化することは、原則として望ましくありません。

なぜなら、闇バイトに関与するリスクは年齢だけで決まるものではなく、また労務提供上の支障や企業秩序への影響という観点では、闇バイト以外にも問題のある副業は存在し得るからです。

ただし、社員数が極めて多く、全社員の副業を審査するリソース確保が難しいなど、他に合理的な理由がある場合は例外的に認められる可能性もゼロではありません。

しかし、そのような特別な事情がない限り、特定の層だけを厳しく審査することは不合理な対応と見なされる可能性があります。

推奨されるアプローチは、全社員に一律のルールを設けることです。

その上で、「原則として副業は許可する」というスタンスをとり、前述の4つの観点で実質的な問題が認められる場合にのみ、不許可とするのが望ましい運用と言えます。

 

最後に

会社の副業ルールは、絶対的なものではありません。

法的な原則は「副業の自由」であり、会社がそれを制限するには、具体的なリスクに基づいた合理的で公平な理由が求められます。

従業員側は自分の権利を正しく知り、企業側は感情や憶測ではなく、明確な基準に基づいてルールを運用する必要があります。

従業員は自身の権利と責任をどう自覚し、企業は形式的なルール運用を超えて、いかにして本質的なリスク管理と従業員の自由を両立させるべきでしょうか?

 

最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。

 渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。お客様皆様の声
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