渋谷区の社会保険労務士です。
こんにちは、高山英哲です。令和8年3回目の投稿です。
今日ももワクワクします。。
「シフト制は融通が利くけれど、会社にスケジュールを握られていて立場が弱い……」。
そんな漠然とした不安を感じたことはありませんか?
デジタルトランスフォーメーションが進む現代、
シフト管理アプリやSNSで手軽に勤務希望を出せるようになった一方で、
その「自由な働き方」の裏側で本来守られるべきルールがあいまいになり、
トラブルに発展するケースも少なくありません。
実は、厚生労働省は「シフト制」で働く人々の権利を守り、
適切な雇用管理を行うための明確な「留意事項」を定めています。
労働者と使用者の双方がリスペクトに基づいた関係を築くために、
テック系コラムニストの視点から、
私たちが今知っておくべき「新常識」を5つのポイントで紐解いていきましょう。
ステップ1:契約書の「シフトによる」は魔法の言葉ではない
アルバイトを始める際、労働条件通知書に「始業・終業時刻:シフトによる」とだけ
書かれていた経験はありませんか?
実は、法律上これだけでは不十分です。
本来、労働契約を結ぶ際には、働く時間や休日を明確にする義務があります。
これは単なる事務手続きではなく、
働く人が自分の生活設計を立てるための「予見可能性」を守る、
いわば防波堤なのです。
行政のガイドラインでは、以下のように明記されています。
「労働条件通知書等には、単に『シフトによる』と記載するのでは足りず、
労働日ごとの始業及び終業時刻を明記するか、
原則的な始業及び終業時刻を記載した上で……
シフト表等をあわせて労働者に交付するなどの対応が必要です。」
具体的な曜日が確定していない場合でも、休日の設定に関する
「基本的な考え方」を書面で示す必要があります。
あいまいにされがちな入り口のルールを、まずは正しく把握しましょう。

ステップ2:確定したシフトの変更は「契約の変更」である
「来週のシフト、会社都合で勝手に削られた」。
これは単なる「調整」ではなく、法的には「契約の変更」に該当します。
一度確定したシフトは、その期間の法的義務を伴う「労働条件」となります。
会社が一方的にシフトを削る(シフトカット)ことは、
本来、管理権の濫用になり得る行為です。
逆に、無理に勤務を増やす場合も同様で、
確定後の変更には「使用者と労働者の合意」が不可欠です。
昨今ではアプリやSNSでシフトを共有し、
変更のプロセスを可視化する職場も増えています。
透明性を高め、トラブルを未然に防ぐために、
以下のルールをあらかじめ話し合っておくことが重要です。
• シフト作成のルール: アプリ等での希望提出期限や、
確定したシフトを通知する期限・方法。
• 変更の手続: 確定後に変更・キャンセルを申し出る際の期限や、
具体的な合意の手順。
ステップ3:「シフト日だから有給は使えない」という誤解
「自分で希望してこの日にシフトを入れたのだから、
有給(年次有給休暇)を使うのはおかしい」。
職場でそんな風に言われたら、それは明確な誤解だと
伝えてもいいかもしれません。
厚生労働省の指針では、「シフトの調整をして働く日を決めたのだから、
その日に年休は使わせない」という取扱いは認められないと断言されています。
シフト制であっても、以下の要件を満たせば「比例付与」という形で
有給が付与されます。
• 半年間継続して勤務している
• 全労働日の8割以上出勤している
「比例付与」とは、フルタイムではない労働者に対し、
その働く日数(比率)に応じて有給を計算する仕組みのこと。
また、有給を使う理由は「休養」だけでなく
「レジャーやコンサート」など個人的な理由で構いません。
利用目的によって取得を拒まれることはないのです。
ステップ4:有給休暇の「お給料」はどう決まる?3つの選択肢
有給を取った際、その日の賃金がいくらになるかは、
会社が「就業規則」で定めたルールに基づきます。
重要なのは、会社は「その都度、恣意的に計算方法を
選んではいけない」という点です。
計算方式 | 概要と特徴 |
|---|---|
通常の賃金 | その日に予定されていた所定労働時間分を、通常の時給で支払う方式。 最もシンプルで、実労働と同等の納得感がある。 |
平均賃金 | 直前3ヶ月間の賃金総額を「暦日数(カレンダーの日数)」で割った額。 公休も分母に含まれるため、通常の賃金の60〜80%程度になる傾向がある。 |
標準報酬月額の1/30 | 健康保険の「標準報酬月額」を日割りにする方式。 導入には労使協定の締結が必要。 |
「平均賃金」方式の場合、休日を含めた総日数(90〜92日程度)で割るため、
実際に働いた日だけで計算するよりも
1日あたりの額が低く感じられるという特性があります。
自分の職場の就業規則はどうなっているか、
一度チェックしてみる価値はあるでしょう。

ステップ5:セーフティネットは「全労働者」に開かれている
「アルバイトだから雇用保険や社会保険は関係ない」という思い込みは、
大きなリスクです。
セーフティネットの適用は、役職や雇用形態ではなく、
労働時間や賃金といった「客観的な条件」で決まります。
特に「月収8.8万円」などの具体的な数値基準は、
シフトワーカーにとって重要な境界線です。
• 雇用保険: 週の所定労働時間が20時間以上、かつ3
1日以上の雇用見込みがある場合に加入義務が生じます。
• 社会保険(健康保険・厚生年金): 以下の5条件を満たす場合、
加入対象となります(※従業員数51人以上の企業等の場合)。
1. 週の所定労働時間が20時間以上
2. 月額賃金が8.8万円以上
3. 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
4. 学生ではない(※夜間・通信等を除く)
5. 従業員数が51人以上の企業(または50人以下で労使合意がある企業)
「働きすぎて保険料がかかるのが嫌だ」という声もありますが、
これらは万が一の失業や怪我(労災は全労働者が対象)、
将来の年金への備えとなります。
自分の働き方がどの基準に該当するのかを正確に知ることは、
デジタル時代の賢い自衛手段と言えます。

結論:透明性の高い関係が、最高のパフォーマンスを生む
シフト制という柔軟な働き方は、ルールが不透明になるとお互いの不信感を招き、
現場のモチベーションを下げてしまいます。
しかし、今回紹介したようなルールを正しく理解し、
アプリなどのテクノロジーを活用して共有することで、
雇用主と労働者の双方がリスペクトし合える
「Win-Win」の関係を築くことができます。
ルールを知ることは、対立するためではなく、
お互いの「安心」を最大化し、最高のパフォーマンスを
発揮できる環境を作るための第一歩です。
最後に、あなた自身の環境を振り返ってみてください。
「あなたの職場のシフト表は、お互いのリスペクトに
基づいた『約束』になっていますか?」
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。
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