こんにちは。渋谷区の特定社会保険労務士の高山英哲です。
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昨日からメダルラッシュ!リオ オリンピックは、非常に盛り上がっていますね。寝不足な日が続いています。

「結局は、世界で一番練習をした奴が、金メダルをとる」大好きなアスリートがのこした言葉です。メダリストの、ほぼ全員が、インタビューで厳しかった練習に耐え、栄光をつかんだ旨の発言をしています。

「負けたけど、悔いはありません」そんな場面に出くわすこともあります。
ただ、元高校球児の私の場合、心の奥に深く寝むる想いでは、負けて悔いがない試合は皆無でした。

悔しさ、挫折を経験した中で、新しい何かと出会い、発見したような気がしています。
あなたの会社の従業員の方も、新しい何かと出会い、気持ちが動き、転職をするケースがあるでしょう。

転職することは、従業員の様々な事情があります。むやみにとめることはできません。
ただし、転職先が、あなたの会社のライバル会社であったら。。話は違ってきます。

あなたの店の料理のレシピ、サビース等を含めた重要な機密情報が競業会社へ漏れることになります。ヤバイです。
そこで、今回は、あなたの会社の従業員がライバル店への転職を防ぐための手法をご紹介いたします。

ライバル会社を、別の表現で競業会社といいます。あなたの会社の従業員が、ライバル店で仕事を行うこと。
つまり、差し控える義務を竸業避止義務といいます。
このような義務を従業員あるいは退職者に課す目的が2点あります。

①使用者のノウハウ等が競業他社に流出することを防ぐ秘密保持の観点
②退職者の競業により自社の顧客を奪われることを防ぐ

通常は、競業避止義務違反が生じた場合の対応策としては、懲戒処分、損害賠償請求、退職金の不支給、あるいは、差止請求などが考えらます。

ただそうはいっても、労働基準法をはじめ労働諸法令のなかで、競業避止義務の条文、根拠はありません。不思議ですね。

どのようなケースで、従業員または退職者が競業避止義務を負うか?従業員または退職者が、いかなる場合に競業避止義務を負うか?これを一緒に考えていきましょう。

端的にいえば、競業避止義務契約が有効であるかという点につき、裁判例においては、おおむね以下のような観点か判断がなされています。

わかりやすいように、在職者と退職者の2とおり考察していきます。

①在職者の場合・・・在職者については、就業規則で、競業が禁止されている場合、就業規則上の規定が義務を課す根拠となります。しかし規定がなくても、従業員は労働契約の付随的な義務として、労働者は競業避止義務を負うと考えられています。そのため、就業規則に明示がない場合でも、軽い気持ちでライバル会社での仕事をすることは、注意してくださいね。

②退職者の場合・・・退職者については、労働契約が終了しているため、労働契約の付随的な義務は考えられません。ここが在職者とは異なる点です。そこで、会社では原則、退職時の誓約書の提出、就業規則で当該義務を課す明示の根拠があることが必要です。ここは、おさえておきましょう。

あなたの会社では、退職時に誓約書または合意書を提出させていますか?就業規則に競業が禁止の条文が明示されていますか?

退職後の競業禁止は、労働者の職業選択の自由を制約し、生計の手段を制限して生活を困難にする恐れもあるため、常に有効となるものではありませんが、合意書の提出、就業規則に競業が禁止の条文が明示は不可欠だと考えます。

例外的に、退職者の競業行為が、社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様で退職者の顧客を奪取したとみられるような場合。明示の根拠がなくとも、その行為は退職者の不法行為です。損害賠償義務が肯定された裁判例もありますので注意してください。あなたの会社でも退職時の誓約書の提出、就業規則の内容を確認をし、社内で考えてみてください。

競業避止義務は、当該内容が合理的な場合に限って有効と解されます。この合理性の有無の判断に当たっては、概ね次の3要素が総合的に判断されます。チェックしてみましょう。

①競業避止義務を課すことを必要とする使用者の利益の有無
②競業避止義務を課している範囲が合理的か、具体的には、当該労働者の地位、地域的な限定、存続期間、禁止される競業の範囲
③代償措置の有無などの要素

ちょっと難しいかなぁ。。

それでは、具体的に、おさえておきたい!ライバル店への転職を防ぐための3つのポイントを就業規則、運用、誓約書の作成を観点に紹介します。

まず最初、3つのポイントは次のとおりです。

①誓約書の提出
②就業規則「競業避止」の明示

③「競業避止」の周知を徹底

退職者については、労働契約が終了しているため、原則として当該義務を課す明示の根拠が必要です。
わかりますよね。ただ、それだけでは不足です。だから、誓約書が必要なのです。

裁判例では、就業規則上に、退職後の競業避止義務を負う旨を定めても、根拠となり得ることを前提としていると解されます。竸業避止義務の有効性は、個別具体的な事情を考慮した合理性の有無により決せられるところ、就業規則の抽象的な規定のみでは、合理性が肯定されないという懸念があるからです。

つまり、私がいいたいのは、就業規則を詳しく読まず、退職者が具体的義務内容を認識していないということも十分起こりえます。

だから、一般的に②の就業規則に定めておくとしても、少なくとも特に競業避止義務を課す退職者については、個別に具体的な内容を定めた誓約書を取り交わし、合理性を担保することが必要です。

これをやっておけば、退職者自身にも十分にその義務を認識として与えることが可能になります。誓約書に日付、退職者の署名、押印があった場合、知らなかったとはいえないでしょう。

あなたならば、誓約書+就業規則+周知。この3つでガードをしっかり固めていくことは、紛争回避にもつながることが理解できると思います。

競業避止義務に係る合意は書面で作成します。口頭では無理とまでは言い切りはしませんが、口頭の合意のみでは合意内容が不明確です。

もし紛争となった場合にその内容の立証が困難です。
「言った」とか「言っていない」とかの紛争も後を絶ちません。必ず書面作成をお願いいたします。

合意書は、会社と退職者が双方で署名、押印する形式で作成します。あなたの会社で作成のうえ従業員へ2通提示しましょう。1通は会社保管、もう1通は本人へわたします。

①誓約書の提出
②就業規則「競業避止」の明示

③「競業避止」の周知を徹底

ライバル店への転職を防ぐため、3つのポイントをステップ・バイ・スッテプで紹介してきました。いかがですか?

従業員のライバル店への転職で気になっている、あなた。是非、一歩を踏む出してみてください。何かが変わると思います。

渋谷区の特定社会保険労務士の高山英哲でした。
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