渋谷区の社会保険労務士です

こんにちは。髙山英哲です。高山英哲

実に細部まで作りこまれている就業規則、労働契約書。驚くほど、緻密であるかのようにレストランチェーン店では、全員入社日からの2ヶ月間は試用期間。。

しかしながら、試用期間中であっても入社日から社会保険へ加入手続きをしなければなりません。

あなたも、ご存知だろう。試用期間中の社会保険加入は、最近は認知されているから。

「そんなの当然だよぉー」。はい、そのとおり!当然です。試用期間中は、社会保険に加入させなくてはならない。

試用期間と2か月以内の期間を定めて使用される者

だったら、「2か月以内の期間を定めて使用される者」。つまり契約社員は、当初の2ヶ月は社会保険に加入させなくてもOKだろう。。って。

日本年金機構:「適用事業所と被保険者」

日本年金機構:「適用事業所と被保険者」

 

そのように思っているは方は、多いでしょうね。

日本年金機構:適用事業所と被保険者
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/jigyosho/20150518.html

条文を読んでも、問題ないような感じもするけどねぇ~・・。
ん。。。誤って解釈で、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の手続きが横行しています。

それでは、全ての社員に対して、当初2ヶ月間の労働契約で社会保険加入なし、再契約後の初日に取得手続きの違法性は?

いかがですか?

様々な意見が聞こえてきます。あんまり、引っ張りすぎると、忙しい皆様の時間を奪うことになりますから、結論を言いましょう。

「当初2ヶ月間の労働契約で社会保険加入なし、再契約後の初日に取得手続きをすること」は、ずばり違法です!

 

「2月以内の期間を定めて使用される者」の、正体

それでは、少しお付き合いください。

まずは、法律の条文からいきましょうか。健康保険法第3条1項2号と厚生年金保険法12条第2号の「臨時に使用される者であって、次に掲げるもの」についてです。

この法律において『被保険者』とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は、日雇特例被保険者となる場合を除き、被保険者となることができない。

(2)   臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(イに掲げる者にあっては1月を超え、ロに掲げる者にあってはロに掲げる所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く。)
イ  日々雇い入れられる者

ロ  2月以内の期間を定めて使用される者

この条文をみると、「なぁ~んだ!正当じゃん!どこが違法性なんだよ。」
そうな声も聞こえてきます。

それでは、疑義照会回答(厚生年金保険適用)を、皆様にごらんいただきましょう。

【飲食店の労務管理】当初2ヶ月間の労働契約で社会保険加入なし、再契約後の初日に取得手続きの違法性は?

疑義照会回答(厚生年金保険適用)

【飲食店の労務管理】当初2ヶ月間の労働契約で社会保険加入なし、再契約後の初日に取得手続きの違法性は?

【飲食店の労務管理】当初2ヶ月間の労働契約で社会保険加入なし、再契約後の初日に取得手続きの違法性は?

■区分:被保険者資格取得届

■整理記号:1

■案件:2月以内の期間を定めて使用される者の被保険者資格について

■照会に関連する法令、条文:厚生年金保険法第12条第2号健康保険法第3条第1項第2号

疑義照会回答(厚生年金保険適用)

疑義照会回答(厚生年金保険適用)

■内容:職員の採用において、常勤、非常勤に限らず全ての職員は、2ヵ月間の雇用契約を結び、2ヵ月間の契約満了時に本人の意思確認を行い、勤務態度、能力、業務量などを勘案し、契約を見直した上で、希望者については再契約を行っています。こういったケースの場合、当初2ヵ月間の有期雇用契約期間は、「臨時に使用される者」として、社会保険の適用除外として取り扱ってもよいでしょうか。

■回答:臨時に使用される者とは、使用関係の実態が臨時的である者と解されます。事業所において継続的な使用関係に入る当初、身分的な意味で一定期間を臨時の使用人あるいは試用期間という取扱いをしても、ご照会の場合のように継続的な使用関係が認められる場合は、採用当初から被保険者として扱うことになります。

【飲食店の労務管理】当初2ヶ月間の労働契約で社会保険加入なし、再契約後の初日に取得手続きの違法性は?

疑義照会回答(厚生年金保険適用)では、継続的な使用関係が認められる場合は、採用当初から被保険者として扱うことになるといっています!つまり入社日から社会保険に加入させなくてはなりません。

具体例として

例えば。。次のようなケース。

●4月1日に入社したレストランチェーンの新卒社員に対して、4月1日から5月31日までの2ヶ月間の労働契約を締結。当初の2ヶ月間の有期労働契約期間は「臨時に利用される者」として社会保険の適用除外として取り扱い社会保険には加入させていない。

●2ヶ月間の労働契約期間の満了時点で本人に意思確認を行う。契約期間を1年に変更したうえで再労働契約。

●6月1日取得で社会保険の加入手続きを行う。

●このレストランチェーンは新卒社員に限らず、中途社員でも同じように、当初、2ヶ月間の労働契約を締結し2ヶ月の契約満了時に本人の意思確認を行う。

●勤務態度、能力、店舗の売上状況等を勘案し、契約を見直したうえで、希望者に再契約を行う。

●当初の2ヶ月間の有期労働契約期間は「臨時に利用される者」として社会保険の適用除外として取り扱い社会保険には加入させない。

そもそも「2ヶ月以内の期間を定めて使用される者」とは、使用関係の実態が臨時的である者と解され、事業所において継続的な使用関係に入るための、試みの使用期間的な意味で一定期間を臨時の使用人あるいは試用期間という取り扱いをしても、継続的な使用関係が認められる場合は、採用日当初から被保険者として取り扱うことになります。

ご理解いただけましたか?
あなたのレストランチェーンではどうでしょうか?

確かに「2月以内の期間を定めて使用される者」と聞けば、契約社員等は、当初の2ヶ月は社会保険に加入させなくてもOKと思いますよね。ただし、事業所において継続的な使用関係に入るための、試みの使用期間的な意味で一定期間を臨時の使用人あるいは試用期間という取り扱いをしても、継続的な使用関係が認められる場合は、採用日で加入させるようにしてください。

飲食店、レストランチェーンの事業主の皆様は、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得日は、継続的な使用関係が認められる場合は、いいですか!採用日ですよ!採用日!、採用日に加入させるようにしてください。

疑義照会回答(厚生年金保険 適用) – 日本年金機構https://www.nenkin.go.jp/info/gigishokai.files/0000000132_0000025365.pdf