歩合給には残業代含む、完全歩合給と固定残業代の関係とは

本日あなたと協議するのは「歩合給と残業代5つの関係である。これで理解できる残業代計算方法を解説していく。

歩合給には、残業代を含むでいるとか、基本給+歩合給を合算した賃金がベースになって、残業代が計算されるとか、
様々な意見がある。

こういった議論が発生する理由は、歩合給と残業代で争われた判例が少ないからだ。また完全歩合給とした場合の労務管理を解説する専門書もない。だから誤った、残業代の算出方法が残業代の基礎賃金として運用される説明書もある。

実際、歩合給を加え残業代の計算には含まれる賃金制度もある。このような会社では、インセンティブと残業代や、成果給と残業代、さらに最低賃金を考慮しての制度設計ができているからだろう。人事担当者ならば、この点は押えておきたい。

歩合給と給与体系の課題

話しは変わるが、世の中には、とんでもない給与を稼ぐサラリーマン、OLが存在します。あまりに賃金が高額すぎて、どんな仕事をしているのか想像できません。また、会社と労働契約の内容を知りたくもなります。あなたの友人でもいますか?年収3,000万円を超える友人など。

元々、聞いたことがない手当があったり、給与体系にビックリすることも少なくありません。給与体系よく目にするのは、ビックリするくらい歩合給額です。

歩合給は、出来高、営業成績などに応じて支給される給与または手当です。
成果に応じて支給されるため、あなたでも、目が飛び出るような賃金額が支給される場合も少なくありません。

当然、出来高、営業成績をあげるために、残業はつきものです。
出来高、営業成績として、結果を出すため、長時間労働が当たりまえですが、歩合給と残業代の関係は、議論を交わされたことはありません。

そこで、今回は、歩合給と残業代の関係を取り上げていきます。けっこう間違いやすい問題ですね。

歩合給と残業代の5つ関係とは?

最初に歩合給と残業代5つの関係である、歩合給が加わった場合の残業代の計算ポイントは
ズバリ!次のとおりです。

①「固定給の時間当たりの賃金額」は固定給の額をその月の所定労働時間で算出いたします。

②「歩合給の時間当たりの賃金額」は歩合給の額をその歩合給を得るために働いた総労働時間(所定労働時間十時間外労働時間)で、それぞれ割って得た額を合算したものが「時間当たりの賃金額」となります。

③通勤手当、家族手当などは、残業代を計算する基礎賃金からは除きます。

 

割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金 PDF(Adobe Acrobat)

④基本給の1時間当たりの賃金額=基本給÷所定労働時間で計算します

⑤歩合給の1時間当たりの賃金額=歩合給÷月間総労働時間で計算します

 

それでは、よくわかるように、事例をあげて、説明していきましょう。

まず、あなたの今月の所定労働時間、時間外労働時間等は次のとおりとします。なお、月によって所定労働時間が異なる場合は,1年間における1ヵ月平均所定労働時間数で残業代を計算します。

1ヶ月の所定労働時間 170時間
今月の時間外労働時間 30時間
今月の深夜労働時間10時間
今月の法定休日労働時間 0時間

そして、あなたの基本給、歩合給、家族手当、通勤手当は次のとおりとします。

基本給 200,000円
歩合給250,000円
家族手当20,000円
通勤手当 10,000円

さぁー、あなたの、今月の残業代を時間外労働割増賃金、深夜労働割増賃金と分けて計算方法を考えてみましょう。

ポイントは、①基本給に対する時間外割増賃金②基本給に対する深夜労働割増賃金③歩合給に対する時間外割増賃金④歩合給に対する深夜割増賃金をそれぞれ計算することになります。

①基本給に対する時間外割増賃金

200,000円÷170時間(所定労働時間)×1.25×30時間=44,118円 ※1

②基本給に対する深夜労働割増賃金

200,000円÷170時間(所定労働時間)×0.25×10時間=2,941円 ※1

③歩合給に対する時間外割増賃金

250,000円÷200時間(所定労働時間+時間外労働時間)×0.25×30時間=9,375円 ※1

★③の割増率は1.25ではありません。注意してください。

 ④歩合給に対する深夜割増賃金

250,000円÷200時間(所定労働時間+時間外労働時間)0.25×10時間=3,125円 ※1

※1(昭和63年3月14日 基発第150号)
1.1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。

2.1ヶ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、1と同様に処理すること。

基本給200,000円
歩合給250,000円
基本給に対する時間外割増賃金44,118円
基本給に対する深夜労働割増賃金2,941円
歩合給に対する時間外割増賃金9,375円
歩合給に対する深夜割増賃金3,125円
合計509,559円

 いかがですか?歩合給が加わった場合の残業代の計算は、けっこう大変ですね。

それでは、歩合給と残業代5つの関係。歩合給が加わった場合の残業代の計算ポイントを解説しますね。

①「固定給の時間当たりの賃金額」は固定給の額をその月の所定労働時間で算出いたします。

②「歩合給の時間当たりの賃金額」は歩合給の額をその歩合給を得るために働いた総労働時間(所定労働時間十時間外労働時間)で、それぞれ割って得た額を合算したものが「時間当たりの賃金額」となります。

③通勤手当、家族手当などは、残業代を計算する基礎賃金からは除きます。

④基本給の1時間当たりの賃金額=基本給÷所定労働時間で計算します

⑤歩合給の1時間当たりの賃金額=歩合給÷月間総労働時間で計算します

あなと一緒に学んだ。歩合給と残業代5つの関係。これで残業代計算方法は理解できたと思います。

よく誤るのは、④の所定労働時間で算出する方法と⑤の月間総労働時間で算出する方法です。このポイントを理解できれば、難解ではありませんよ。

また、通勤手当、家族手当は時間外労働割増賃金、深夜労働割増賃金、休日労働割増賃金を算出する基礎賃金からは除外されます。必ず除いて計算してくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたの、疑問解決の一助となれば幸いです。

渋谷区の特定社会保険労務士の高山英哲でした。
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