渋谷区の社会保険労務士です。

こんにちは、高山英哲です。

あなたと、今回学ぶことは「菓子販売店K事件、懲戒解雇の無効」事案である。

私は就業規則の周知義務は「作成」することと、同等に重要だと考える。

あなたは、どうだろうか?この機会に気にかけてほしい。

審判

一審(地方裁判所)

裁判所名

甲府地方裁判所

事件番号

平成26年(ワ)264号

裁判年月日

平成29年3月14日

裁判区分

判決

裁判文

菓子販売店K事件判決文(東京高等裁判所,平成29年3月14日)PDF(Adobe Acrobat)


今回の判例は具体的に言うと、こうだ。

懲戒解雇事由の非違行為がなされた時点で、事業主は就業規則の周知を行つていなかった。
ゆえに懲戒解雇は無効とされた。

今まで、ずっと、就業規則は「会社の金庫にあった」とか、「カギつきのロッカーに眠っている」といった会社は、最後まで、読み通してほしい。

多忙なあなたが、なぜ、最後まで読む必要があるのか?

その理由は、ズバリ!「読むことで、就業規則周知の重要性を理解できる」からだ。

あなたと一緒に、ステップ・バイ・ステップで、勉強をしていく。

特に今まで「就業規則周知の重要性」を、理解していない場合、必ず大きな知識を得るはずだ。

早速、すすめていくことと、する。

 

ステップ1=「就業規則の周知義務」の正体を、理解する

そもそも「就業規則の周知義務」とは、何か。

ズバリ!その答えは「使用者は就業規則等を労働者に周知する義務を課している」ということだ。

「おいおい、そのまま、だろぉー」との声が、聞こえる。

それでは、もう少し具体的に、説明しよう。

労基法106条は「使用者に対し、就業規則等(労基法およびこれに基づく命令の要旨、就業規則、労使協定、労使委員会の決議等)を労働者に周知する義務を課している。

この周知義務に違反した場合には、労基法120条に基づ含30万円以下の罰金が科せられる。

1-1 就業規則等の周知方法

周知方法については、労基則52条の2により、次の方法が示されている。

①常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付ける方法

この「作業場」とは、事業場内において密接な関連の下に行われている個々の現場をいい、主として建物別等に判定する(昭23.4.5 基発535)。

②労働者に書面を交付する方法

③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置する方法

 コンピュータ等の電子機器を使用して、フロッピーディスクやCD-ROM、DVD、社内のホストコンピュータ等に記録した就業規則等を労働者が随時確認できるようにする方法で周知をする場合には、労働者が記録の内容を随時確認できるよう、各作業場にパソコン等の機器を設置し、労働者にその操作権限を与えて、その操作方法も周知させることにより、労働者が必要なときにいつでも就業規則の内容を確認できるようにしなければならない(平11.1.29 基発45)。

 

ステップ2 就業規則の「周知」と「効力」の関係を、学ぶ

周知手続きを欠く就業規則の効力は、学説や判例は「公示等の手段により従業員が周知し得る状況におかれることを効力発生要件とする」との見解をとるものが多い。

そんな、判例はあるのか?

ある!説明しょう。

それでは、フジ興産事件(最高裁 小 平15.10.10判決)を解説する。

判決は、こうだ。

「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」とする国労札幌支部事件(最高裁 小 昭54.10.30判決 民集33巻6号)。

さらに、就業規則が法的規範としての性質を有するとした秋北バス事件(最高裁大 昭43.12.25判決民集22巻13号)とを引用して、「就業規則が法規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである」との判断をした。

この判例は、あなたは、押さえておく必要がある。

2-1 労働契約法7条を考察する

現在では、労働契約法7条で、こういっている。

「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」

加えて、就業規則の変更に係る労働契約法10条も「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」としている。

したがって、労働契約法は「就業規則に労働者を拘束する効力を認めるための必須の要件として労働者に周知させる手続きが採られていることを要するとの判例法理を法制化している」と、いうことだ。

ここは、あなたは、理解できる、だろう。

このことから「周知を欠く就業規則の効力は否定的に解さざるを得ない」と、いえる。

ステップ3=判例から、習得する

あなたは「就業規則を周知義務」の正体は、理解できた。

それでは、今回は判例を、私たちで、考えていこう。

3-1 現金の着服等を理由に懲戒解雇の判断は?


本件は、菓子販売店を運営する会社(被告)に雇用されていた(原告)が、現金の着服等を理由に懲戒解雇された。

これを無効と主張した事案だ。

本判決は、懲戒の種別および事由を定めた就業規則が周知されていない。

このことから、懲戒処分の有効要件を定めた労働契約法15条に反するとして懲戒解雇を無効と判断した。(原告)の地位確認請求を認容した。

あなたは、こう考えているかも、しれない「現金の着服したのに、解雇無効だって、あり得ないでしょう」。

私も同じ意見だ。しかしながら、もう少し、お付き合いいただきたい。

3-2 作成していない、就業規則の効力

被告である会社は、懲戒解雇した理由はこうだ。

●現金の着服
●タイムカードの不正打刻
●無断欠勤等

問題は、懲戒解雇した時点で、作成していない就業規則の効力だ。

要するに会社は「就業規則は懲戒解雇の事由である各非違行為がされた時点では、作成されていなかった」と、いうことだ。

あなたなら、どう、思うだろうか。

就業規則が存在しないなかでの「懲戒解雇」を。

会社はまず、懲戒解雇に先立って、就業規則を作成した。

そして平成26年1月1日に施行したうえで、同年2月13日付で労働基準監督署に届け出たことになる。。

これを、裁判所は、重要視したのだろう。

 

ステップ4=就業規則の有効性および拘束力を、つくる

この事案は就業規則は懲戒解雇の事由の各非違行為がされた時点では作成されていない。

さらに各非違行為がされた時点では、「別会社」の就業規則で用いられていた、というから驚きである。

会社が社員を懲戒する場合の、正しい方法とは、何か?

私が言いたいことは「あらかじめ就業規則を作成のうえ、懲戒の種別、事由を定め明示」しておく、ということだ。

就業規則が法的規範との性質を有効にするならば、これは不可欠だ。

したがって、就業規則の有効性および拘東力を生じるためには「社員に周知させる手続き」が重要である。

あなたは、決して、これを怠ってはならない。

あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。

最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

審判

一審(地方裁判所)

裁判所名

甲府地方裁判所

事件番号

平成26年(ワ)264号

裁判年月日

平成29年3月14日

裁判区分

判決

裁判文

菓子販売店K事件判決文(東京高等裁判所,平成29年3月14日)PDF(Adobe Acrobat)


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